私は補綴治療の完成を考えるとき、食事の場面を思い浮かべます。前歯の形を気に入っていただけるか、口を閉じたとき片側だけ先に当たる感覚はないか、食べ物を噛み、歯の間を清掃するときはどうか。補綴物は診療室で眺める物ではなく、毎日口の中で使う歯だからです。

美しい形は大切です。ただし、その形が収まる歯肉や周囲の歯、上下の歯の関係も併せて見る必要があります。私は審美と機能を、互いに譲歩し合う二つの項目としてだけ捉えていません。両者を結びつけて設計することが補綴治療の中心だと考えます。見た目の良い歯が暮らしの中でも自然に使えるよう、部分と全体を見たいと思っています。

模型を確認しながら作業するパク・ジヒョン代表院長
模型を確認しながら作業するパク・ジヒョン代表院長

一本の歯を見るときも、周囲を一緒に見ます

歯は独立した部品が横に並んでいるわけではありません。隣の歯との関係、反対の顎の歯と接する関係、周囲の歯肉があります。補綴物の形を決めるとき、その歯だけの輪郭では判断を終えられない理由です。

患者さんが前歯の長さや色を変えたいと希望するときも、私は望む変化と現在の条件を一緒に考えます。隣の歯がどれだけ見えるか、新しい形が唇と歯肉の間でどうつながるか、口を閉じて動かすとどうなるか。一部を変えると周囲との関係も変わることを、治療計画に含めたいと思います。

複数の歯を一緒に回復する全顎的な補綴治療では、こうしたつながりがさらに重要になります。個々の補綴物を仕上げる前に、全体としてどのような形と噛み合わせを目指すかを整理する必要があります。治療する歯の本数よりも、つながった条件をどれだけ一貫して判断できるかが重要だと考えています。

歯肉は背景ではなく、土台です

補綴治療で歯肉も見るのは、笑うときに見えるからだけではありません。歯を支える組織の健康に関わるからです。歯周病は歯の周囲に炎症を起こし、進行すると歯を支える骨にも影響することがあります。歯の見た目をつくり直すことと、その土台を調べることは切り離しにくいのです。 [3]

私は、腫れたり出血しやすかったりする歯肉をそのままに、補綴物の色や形だけを先に決めることには慎重でありたいと思います。現在の歯肉の状態が何に関係するかを確認し、必要な治療と管理の順序を考える必要があります。診断で確認した内容を治療に反映してこそ、新しい補綴物を取り巻く環境にも向き合えます。

画面を見ながら説明するパク・ジヒョン代表歯科医師

画面を見ながら説明するパク・ジヒョン代表歯科医師

歯肉の高さや輪郭は、歯の見え方にも関わります。同じ長さの補綴物を想像しても、周囲の歯肉や歯との関係によって印象は変わります。私にとって審美的な補綴設計は、白い部分の形を決めるだけでは終わりません。その形がどのような土台の上に置かれるかまで考えることです。

クラウンという名前より、必要な範囲を先に考えます

クラウンは歯を覆って機能と外形を回復する補綴物です。大きく損傷した歯や大きな修復物のある歯などで検討されますが、すべての状態で同じ範囲の治療が必要なわけではありません。条件に応じてインレーやオンレーなどの方法を検討することも、補綴治療の大切な部分です。 [2]

治療範囲を説明するとき、私は新しくつくる部分とともに残す部分を考えます。残存歯がどのような状態で、必要な支持や修復範囲をどう確保するかを調べる過程です。広く覆えば常に良いわけでも、小さな修復がすべての状態に適するわけでもありません。範囲には、その歯の条件に合った理由が必要です。

患者さんが治療を理解するには、「クラウンにします」という結論だけでは足りません。今の歯のどこに問題があり、なぜその範囲を修復するのかを知る必要があります。材料や費用へすぐに進む前に、残っている歯と回復する部分の関係を十分に説明したいと思っています。

形を決める間も、使うことを忘れません

咬合とは上下の歯が噛み合う関係です。新しい補綴物を入れることは、その関係の中に新しい形を加えることでもあります。私は口を開けて見える形と、閉じて使う状態を一緒に考えます。審美的な完成度と機能的な咬合を併せて扱うという、ソウルイド歯科の方針もここにあります。 [1]

歯の長さや厚みを変えたいという希望は、十分に話し合う価値があります。ただし、その変化が他の歯との接触にどう影響するかも判断する必要があります。先に希望の形を確定してから機能を合わせようとすると、重要な条件に後で気づくかもしれません。私は設計の最初から、使うという条件を置いておきたいと思います。

治療後の感覚も、判断を続けるための情報です。外形を気に入ることと、噛んで心地よいことは、それぞれ確認が必要です。「どこかが先に当たる」「以前と違う不快感がある」という訴えを、新しい歯に慣れていないだけと済ませない姿勢が必要だと考えます。目で確認できる情報と、実際に使う方の感覚をともに尊重したいと思います。

相談室で話すパク・ジヒョン代表歯科医師

相談室で話すパク・ジヒョン代表歯科医師

材料の名前は、設計の代わりにはなりません

補綴材料には複数の選択肢があります。クラウンにも金属、金属に陶材を焼き付けたもの、セラミックなどがあります。材料名の印象だけで選択が終わらないようにしたいと思います。同じ材料でも、どの歯にどの範囲で使うかによって、計画で考慮する条件が違うからです。 [2]

何の材料を使うかと、その材料をどう設計・製作するかは別の課題です。希望する印象、残っている歯、周囲との関係を先に整理してこそ、製作で何を実現するかが明確になります。材料を決めるときにも、最初の診断と目標がつながっているべきだと考えます。

ソウルイド歯科には院内技工室があります。私にとって技工室は、患者さんから見えない場所で歯の形をつくるだけの空間ではありません。診療室で立てた計画が実際の補綴物になる場所です。技工室がある事実そのものより、どのような形と関係を実現するのかを製作へ明確に伝える姿勢を大切にしています。 [4]

例えば「自然」という言葉だけでは、希望する歯の姿は十分に伝わりません。どの部分の長さや輪郭を残したいか、周囲の歯とどうなじませたいかを具体的に整理する必要があります。私はこうした情報を丁寧に扱うことを、製作前の付随的な会話ではなく、補綴設計の一部と考えたいと思います。

長く使うことも、最初の設計に含めます

補綴物を使う時間は、診療室でつくって装着する時間よりはるかに長く続きます。治療を計画するとき、その後の管理も考えたいと思います。治療後も生活習慣や口腔環境に合ったケアが続くことが、ソウルイド歯科の目指す方向です。 [1]

清掃しにくい場所や使ううちに生じた変化は、その後の診察で確認する必要があります。補綴物が入ったからといって、周囲の歯や歯肉を気にしなくてよいわけではありません。歯肉の健康を守る日々のケアと定期的な診療は、補綴治療後も大切です。完成した歯の形だけでなく、これから手入れする部分まで理解していただきたいと思います。 [3]

私にとって良い補綴は、補綴物だけを取り出したときの美しさでは説明できません。その方の歯肉と歯の間で調和し、食事や会話で使え、日常的に手入れできるかを併せて考える必要があります。補綴専門医として、このつながりを最後まで見る診療を目指しています。再び心地よく噛み、自然に笑う日常を考えること。それが私が形を丁寧に整える理由です。

写真 · ソウルイド歯科

コラムの構成

医療者の診療分野と医院の診療理念をもとに、編集部が一人称で構成したコラムです。

参考資料・出典

  1. ソウルイード歯科医院 · ブランドガイド・提供されたブランドストーリー (新しいタブで開きます)

    医院提供のブランドガイドに記載された名称、価値観、診療理念。

  2. 米国補綴歯科学会 ACP · Caps and Crowns (新しいタブで開きます)

    クラウンの目的・材料と、状態に応じたインレーやオンレーなどの選択肢に関する専門学会の案内。

  3. 米国NIH · NIDCR · Periodontal (Gum) Disease (新しいタブで開きます)

    歯周病の原因・症状・診断・日常のケアに関する患者教育資料。

  4. ソウルイド歯科 · 医療者・院内技工室の提供紹介資料 (新しいタブで開きます)

    医院提供の医療者・施設紹介に記載された院内技工室の情報です。治療結果や製作期間を保証する資料ではありません。

編集 · DoctorInsight編集部
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